〜前回のあらすじ〜
二年前の手記により過去の記憶が呼び覚まされ、新たなチャレンジ精神に火がついた。
「もう、か弱く儚い私は、消えた」
目指したのは佐賀県の端に位置する(追記:長崎県松浦市) 福島。
しかし福島手前であるにも関わらず、既に走行距離は110kmを越え、距離感が崩壊。家を出てから7時間。パンクの憂き目に遭いつつも、赤い橋が目の前に現われた。「嗚呼、ついにかの地が…」
島をぐるっと一周、県道103号線に沿って時計回りに回予定なのだが。
204号線をひたすら進み続けると、ついに福島への看板が見えてきました。
ヤッホォ〜
ようこそ福島ってへって書いてある。
えぇ、ホント。こんなとこまで、ようこそお越しになりましたよ。
橋を渡ってすぐの場所に、観光案内の看板がありました。左側には名所の写真が並んでいます。
ただの目的地に設定しただけで、観光なんて期待していなかったし、下調べもゼロですが、予想外に楽し気な島みたい。特に「棚田」が気になります。あまり眺めていると、行きたいところが増えすぎて、ウロウロしているうちにタイムアップという自体になりかねませんので、無理はせずガミンチョと流れに任せて寄れたら寄ろう。無理なら今度。というスタンスで走ることにしました。
車はおらず、信号もない。厚めにかかる白い雲が、強い日差しを遮ってくれて、ダラダラ汗をかくこともなく快適ライド!!グロスAVも15km台に戻り、時間のゆとりも出てきました。
ただ、ちょっと気になるのが、これまでの獲得標高。すでに1241m?
え??山は無かったはずなのに?一番高い峠でも230mくらいなのに?
ガーミン壊れた??
いえ、そうではありません。この時はあまり自覚がなかったのですが、特に呼子(よぶこ)以降、地味ぃなアップダウンの連続だったのです。
このような↓
交通量の少なさや、路面状態の良さから、精神的な疲れは出ていませんが、肉体的には充分に削れています。その証拠に、結構踏んでいるつもりなのに25km/h以下しか出ていません。しかし、未だその事実に本人は気づいていません。
あれ、思ったよりなんか進まないな〜。
ガーミン壊れた??
あ!!!!!!
大山展望台 3kmって。
……。
なぜローディーは展望台と名がつくものには、行かねばならぬと血が叫ぶのか。
ここまで出番が少なかったこの人にも聞いてみましょう。
ルートからは外れるんだけど、展望台があるんだって…。
まさか、ひよるクマ?
展望台までたったの3km。所詮血塗られた道だ!!!!!!
冷静になって考えましょう。登りの3kmは結構な距離です。しかし120km走り、距離感が壊れた私は「なぁに、たかだか3kmだ。わはは」と血迷ってしまい、ルートを逸れて矢印の指し示す方へ。
登り始めて20m
ヤバいにおいがするwww
暗いwww
これ完全にあかんヤツじゃないのかww
スタート直後の深い緑のトンネルに、恐れおののきつつも、今更引き返すわけにも行きません。ガーミンを見るゆとりもなく、斜度は分かりませんが、精神的にも肉体的にも体感斜度は25%
ぜぇはぁぜぇはぁ…。半分くらいは登ったかな…。
は?あと2.5km? 500mしか登ってないやんwwもう家に帰りたいww
泣きごとを言っても距離が短くなるわけでも、斜度が緩くなるわけでもないので、感情を切り離し、ひたすら3m先の地面だけを見続け登ります。
残り0.8kmの看板を過ぎると、目の前が開けて斜度も緩くなり、ゴールの兆しが
大山展望台到着!!
う、うん。まぁなんていうか。そんなに…。たいしたことないねww
下山!!!
元のルートに戻り、103号線を道なり4kmほど先に、気になっていた棚田はある様です。
ここで悲しいお知らせがあります。
当然ですが棚田を棚の様に見るには、下から見上げてもダメです。上からそれらを見下ろせる位置でないと、美しい棚田は見ることが出来ません。
ということは
また登るんかい(怒)!!!!
嫌がらせに近い地味でじんわりとしたアップダウンを繰り返し、進んだ先に目にしたものは
よきかな\(^o^)/
「土谷棚田」日本の棚田百選にも選ばれているようで、9月に行われるという「火祭り」の写真は何とも幻想的。
祭りの時はたくさんの観光客が訪れるそうですが、ロードでならば渋滞知らずで来れそうです。その場合はどこかに一泊するか、徹夜で自走で帰るかになりますが、絶対見に来ようと心に固く誓いました。
夕日が沈むのをこのまま眺めていたいですが、そうもいかないので前へと漕ぎ出します。なんといってもまだ全行程の半分程度しか走ってないのですから。
意外にも見所の多い福島、美しい棚田もさることながら、もうひとつ私を驚かせるものは
平地がなくね?
航空写真をぼんやり眺めただけで、海沿いの平坦を潮風に吹かれつつ爽やかに周回するというイメージが出来上がっていましたが、実際の103号線は海沿いからは少し離れており、高台を上ったり下ったり。高台からなので、棚田も美しく、水平線は遠くに見渡せ、眼下に小さな漁村が見下ろせるわけですが…
頼むから、上らせるなら下らせるな!下らせるなら上らせるな!!
103号線も島の半分を過ぎると急に道が細くなり、もう完全に山の中。
棚田のところにあった自販機で給水しておくべきだったのに、まだいっか、が災いしてボトルはほぼ空。補給食の羊羹に手を伸ばしたいが、喉が渇きそうなので、この坂の島を脱出するまでは耐えるしかなさそうです。
ハムストリングの悲鳴に耳を塞ぎ、絶え間なく襲い来る渇きに喉を掻きむしりながら上っていると、周辺の大きな木々に、オレンジ色の実がびっしりと、撓(たわ)わに実っていました。
ビワやん!!!!
(ああ、みずみずしいな。あの実には水分と糖分が詰まっているのだろうな…ゴクリ)
いやいや!!ダメだ!いくら誰も刈り獲ることもしなさそうであっても、他人様のもの。手にすれば盗人だぞ!!
せめてクマ吉を木に乗せて、ブログ用に写真だけでも撮ろうとゆさゆさと揺れる完熟のビワの間にクマ吉を配置しようとすると…
クマ吉のデカフェイスが当たった実が、3つ連なったまま
ボトッ
あ”あ”あ”あ”あ”あ” もげちゃった( ;∀;)
拾って見てみると、三つのうち二つは、熟しすぎて少し痛んでいます。が、もうひとつは今まさに食べごろ。
(泥棒はいけないことだ。だがオマエはこのまま、このビワを地面に捨てるのか?)
食べちゃお♡
うめぇ!!!!
盗んだビワ超うめぇぇぇ!!!!
後ろめたさから写真は撮れませんでした。
ガミンチョの指示に従い、邁進し続けますが、脚はすでにいっぱい一杯。
筋力不足の私は、普段メンタルだけでヒルクラしています。出発前、ルートラボの高低差を見ながら「今回は山はなし、MAXは230mup。それ以外ちょこちょこした坂はせいぜい60〜100mくらい。余裕。」といった心構えでいたのがいけなかったのです。
60〜100mも繰り返せば、700mの山と変わらないというこの事実。
小さな坂も積み重ねれば 獲得標高 独立峰だかんな!!忘れんなよ私!!
浅はかだった。
小学校で足し算からやりなおしたい( ;∀;)
漸くこの事実に気づいた頃、峠を越えたようで、徐々に下り基調が多くなってきました。
え?これw大丈夫なの??これホントに県道w??
もうダメだ迷い込んだ。ビワ泥棒に制裁が下った。
このまま森に還ろう
ガミンチョはGO!としか言いません。これでやっぱり間違えてましたってことになっても折り返す脚はもう残ってないぞ、と不安げに進むと。
橋だ!!!
こうして福島に別れを告げ、伊万里市街まで下り、国道202号線を北上し、唐津街道を折り返し走ります。
過去最長のライドで、自分がどこまで走れるか分からなかったので、念のため帰りは、JR沿いにルートを取りました。夜間の体調不良や集中力の低下は特に危険なので、そんな場合はいつでも輪行という手段がとれる様にしておいたのですが、見知った唐津街道に入ると、緊張がほぐれ、どうにか自宅まで走りきることが出来ました。22時50分帰着。242km。2320mup。15時間49分。
身体を壊し、思う様に動くことが叶わなかった二年前。
体力をつけたいと始めたウォーキングがジョギングに変わり、ロードバイクと出会い、40kmが240kmに伸び、近所のダムまで200mupを何度も脚をつきながら上っていたのが、2300mup出来る様になりました。その一歩一歩はとても小さく弱いものでしたが、積み重ねる続けることで、二年前には想像もできなかった場所に辿り着くことが出来ました。
そして、もちろん、今も私はまだ道半ば。これからさらに二年後、今では全く想像出来ないような場所に立っていられたら嬉しいな、と思います。
二年前の手記により過去の記憶が呼び覚まされ、新たなチャレンジ精神に火がついた。
「もう、か弱く儚い私は、消えた」
目指したのは佐賀県の端に位置する(追記:長崎県松浦市) 福島。
しかし福島手前であるにも関わらず、既に走行距離は110kmを越え、距離感が崩壊。家を出てから7時間。パンクの憂き目に遭いつつも、赤い橋が目の前に現われた。「嗚呼、ついにかの地が…」
島をぐるっと一周、県道103号線に沿って時計回りに回予定なのだが。
204号線をひたすら進み続けると、ついに福島への看板が見えてきました。
ヤッホォ〜
ようこそ福島ってへって書いてある。
えぇ、ホント。こんなとこまで、ようこそお越しになりましたよ。
橋を渡ってすぐの場所に、観光案内の看板がありました。左側には名所の写真が並んでいます。
ただの目的地に設定しただけで、観光なんて期待していなかったし、下調べもゼロですが、予想外に楽し気な島みたい。特に「棚田」が気になります。あまり眺めていると、行きたいところが増えすぎて、ウロウロしているうちにタイムアップという自体になりかねませんので、無理はせずガミンチョと流れに任せて寄れたら寄ろう。無理なら今度。というスタンスで走ることにしました。
車はおらず、信号もない。厚めにかかる白い雲が、強い日差しを遮ってくれて、ダラダラ汗をかくこともなく快適ライド!!グロスAVも15km台に戻り、時間のゆとりも出てきました。
ただ、ちょっと気になるのが、これまでの獲得標高。すでに1241m?
え??山は無かったはずなのに?一番高い峠でも230mくらいなのに?
ガーミン壊れた??
いえ、そうではありません。この時はあまり自覚がなかったのですが、特に呼子(よぶこ)以降、地味ぃなアップダウンの連続だったのです。
このような↓
交通量の少なさや、路面状態の良さから、精神的な疲れは出ていませんが、肉体的には充分に削れています。その証拠に、結構踏んでいるつもりなのに25km/h以下しか出ていません。しかし、未だその事実に本人は気づいていません。
あれ、思ったよりなんか進まないな〜。
ガーミン壊れた??
あ!!!!!!
大山展望台 3kmって。
……。
なぜローディーは展望台と名がつくものには、行かねばならぬと血が叫ぶのか。
ここまで出番が少なかったこの人にも聞いてみましょう。
ルートからは外れるんだけど、展望台があるんだって…。
まさか、ひよるクマ?
展望台までたったの3km。所詮血塗られた道だ!!!!!!
冷静になって考えましょう。登りの3kmは結構な距離です。しかし120km走り、距離感が壊れた私は「なぁに、たかだか3kmだ。わはは」と血迷ってしまい、ルートを逸れて矢印の指し示す方へ。
登り始めて20m
ヤバいにおいがするwww
暗いwww
これ完全にあかんヤツじゃないのかww
スタート直後の深い緑のトンネルに、恐れおののきつつも、今更引き返すわけにも行きません。ガーミンを見るゆとりもなく、斜度は分かりませんが、精神的にも肉体的にも体感斜度は25%
ぜぇはぁぜぇはぁ…。半分くらいは登ったかな…。
は?あと2.5km? 500mしか登ってないやんwwもう家に帰りたいww
泣きごとを言っても距離が短くなるわけでも、斜度が緩くなるわけでもないので、感情を切り離し、ひたすら3m先の地面だけを見続け登ります。
残り0.8kmの看板を過ぎると、目の前が開けて斜度も緩くなり、ゴールの兆しが
大山展望台到着!!
う、うん。まぁなんていうか。そんなに…。たいしたことないねww
下山!!!
元のルートに戻り、103号線を道なり4kmほど先に、気になっていた棚田はある様です。
ここで悲しいお知らせがあります。
当然ですが棚田を棚の様に見るには、下から見上げてもダメです。上からそれらを見下ろせる位置でないと、美しい棚田は見ることが出来ません。
ということは
また登るんかい(怒)!!!!
嫌がらせに近い地味でじんわりとしたアップダウンを繰り返し、進んだ先に目にしたものは
よきかな\(^o^)/
「土谷棚田」日本の棚田百選にも選ばれているようで、9月に行われるという「火祭り」の写真は何とも幻想的。
祭りの時はたくさんの観光客が訪れるそうですが、ロードでならば渋滞知らずで来れそうです。その場合はどこかに一泊するか、徹夜で自走で帰るかになりますが、絶対見に来ようと心に固く誓いました。
夕日が沈むのをこのまま眺めていたいですが、そうもいかないので前へと漕ぎ出します。なんといってもまだ全行程の半分程度しか走ってないのですから。
意外にも見所の多い福島、美しい棚田もさることながら、もうひとつ私を驚かせるものは
平地がなくね?
航空写真をぼんやり眺めただけで、海沿いの平坦を潮風に吹かれつつ爽やかに周回するというイメージが出来上がっていましたが、実際の103号線は海沿いからは少し離れており、高台を上ったり下ったり。高台からなので、棚田も美しく、水平線は遠くに見渡せ、眼下に小さな漁村が見下ろせるわけですが…
頼むから、上らせるなら下らせるな!下らせるなら上らせるな!!
103号線も島の半分を過ぎると急に道が細くなり、もう完全に山の中。
棚田のところにあった自販機で給水しておくべきだったのに、まだいっか、が災いしてボトルはほぼ空。補給食の羊羹に手を伸ばしたいが、喉が渇きそうなので、この坂の島を脱出するまでは耐えるしかなさそうです。
ハムストリングの悲鳴に耳を塞ぎ、絶え間なく襲い来る渇きに喉を掻きむしりながら上っていると、周辺の大きな木々に、オレンジ色の実がびっしりと、撓(たわ)わに実っていました。
ビワやん!!!!
(ああ、みずみずしいな。あの実には水分と糖分が詰まっているのだろうな…ゴクリ)
いやいや!!ダメだ!いくら誰も刈り獲ることもしなさそうであっても、他人様のもの。手にすれば盗人だぞ!!
せめてクマ吉を木に乗せて、ブログ用に写真だけでも撮ろうとゆさゆさと揺れる完熟のビワの間にクマ吉を配置しようとすると…
クマ吉のデカフェイスが当たった実が、3つ連なったまま
ボトッ
あ”あ”あ”あ”あ”あ” もげちゃった( ;∀;)
拾って見てみると、三つのうち二つは、熟しすぎて少し痛んでいます。が、もうひとつは今まさに食べごろ。
(泥棒はいけないことだ。だがオマエはこのまま、このビワを地面に捨てるのか?)
食べちゃお♡
うめぇ!!!!
盗んだビワ超うめぇぇぇ!!!!
後ろめたさから写真は撮れませんでした。
ガミンチョの指示に従い、邁進し続けますが、脚はすでにいっぱい一杯。
筋力不足の私は、普段メンタルだけでヒルクラしています。出発前、ルートラボの高低差を見ながら「今回は山はなし、MAXは230mup。それ以外ちょこちょこした坂はせいぜい60〜100mくらい。余裕。」といった心構えでいたのがいけなかったのです。
60〜100mも繰り返せば、700mの山と変わらないというこの事実。
小さな坂も積み重ねれば 獲得標高 独立峰だかんな!!忘れんなよ私!!
浅はかだった。
小学校で足し算からやりなおしたい( ;∀;)
漸くこの事実に気づいた頃、峠を越えたようで、徐々に下り基調が多くなってきました。
え?これw大丈夫なの??これホントに県道w??
もうダメだ迷い込んだ。ビワ泥棒に制裁が下った。
このまま森に還ろう
ガミンチョはGO!としか言いません。これでやっぱり間違えてましたってことになっても折り返す脚はもう残ってないぞ、と不安げに進むと。
橋だ!!!
こうして福島に別れを告げ、伊万里市街まで下り、国道202号線を北上し、唐津街道を折り返し走ります。
過去最長のライドで、自分がどこまで走れるか分からなかったので、念のため帰りは、JR沿いにルートを取りました。夜間の体調不良や集中力の低下は特に危険なので、そんな場合はいつでも輪行という手段がとれる様にしておいたのですが、見知った唐津街道に入ると、緊張がほぐれ、どうにか自宅まで走りきることが出来ました。22時50分帰着。242km。2320mup。15時間49分。
身体を壊し、思う様に動くことが叶わなかった二年前。
体力をつけたいと始めたウォーキングがジョギングに変わり、ロードバイクと出会い、40kmが240kmに伸び、近所のダムまで200mupを何度も脚をつきながら上っていたのが、2300mup出来る様になりました。その一歩一歩はとても小さく弱いものでしたが、積み重ねる続けることで、二年前には想像もできなかった場所に辿り着くことが出来ました。
そして、もちろん、今も私はまだ道半ば。これからさらに二年後、今では全く想像出来ないような場所に立っていられたら嬉しいな、と思います。